古代中国「四大美女」
古代中国四大美女が書かれた「四美图」。
古代中国「四大美女」
古代中国の四大美女というくくりがあるのをご存じでしょうか?
中国では舞台でのお芝居やゲームでも登場する美人キャラクターですし、当然それぞれにまつわる歴史ドラマではその名前が出てきますし、四人の絵が描かれた「お土産」なども中国の観光地ではよく売られているので、一応覚えておいて損はないと思います。
このページのタイトルの「四美图:Sì měi tú」というのはその4人がまとめて描かれた絵の事です。
今、百度:Bǎidùで「四美图」と検索してみると李玉刚:Lǐyùgāngさんの舞台劇の話が上の方にヒットします。女形もこなす舞台アーティストであり気鋭の演出家です。
私も初めて四美图を見た時は貂蟬:Diāochánしか解らず、後の三人聞いたこともないけど誰!? …とその場ですぐ調べたのを覚えています。
個人的には上海の「豫园:yùyuán」に行ったときにお土産屋さんで「四美图:Sì měi tú」の描かれた扇子を買って持っていて、夏場には欠かせないグッズになっています。
さてそれでは四美图に描かれている古代中国四大美人を紹介すると…。
西施、王昭君、貂蟬、杨贵妃の4人です。
沉鱼落雁,闭月羞花:chén yú luò yàn , bì yuè xiū huā:という「美人を形容する成語」の由来になった四人です。
一人ひとり簡単に説明すると、
・西施:Xīshī:日本語読みは「せいし」。
本名は施夷光:Shīyíguāngといい、春秋時代の越国の华夏族:huáxià zúの出身で、越王勾践が女好きの呉王夫差を溺れさせるために送り込んだスパイです。結果は勾践の読み通り夫差は西施に夢中になり政治をおろそかにしたため呉は越に滅ぼされてしまいます。西施も倾城倾国の罪で殺されてしまいます。
西施は西施浣纱:Xīshī huàn shāというお話の中で彼女が川で洗濯をしていると彼女に見とれた魚が泳ぐのを忘れてだんだん沈んで行ってしまったという逸話を持ち上記の成語の「沉鱼:chén yú」は西施を指しています。
・王昭君:Wáng zhāojūn:日本語読みは「おうしょうくん」。
本名は王嫱:Wáng qiáng、西汉:xīhànですから日本で言う前漢の時代の汉族:Hànzúの女性です。彼女が琵琶を弾くと雁がその音色に聞き入って落ちてくるというところから上記成語の「落雁:luòyàn」は王昭君を指しています。
昭君出塞:Zhāojūn chūsāiというお話が残っています。
・貂蝉:Diāochán:日本語読みは「ちょうせん」。
この女性だけは歴史書には登場しない架空の女性とされていて三国志に登場します。貂蝉拜月:Diāochán bài yuèという民間に伝わるお話に出てきて、董卓と呂布を貂蟬の取り合いで仲違いさせるために養父の王允:Wáng yǔnに送り込まれます。
上記の成語の「闭月:Bì yuè」が貂蟬を指し、月が雲に隠れてしまうほどの美人って事です。
・杨贵妃:Yáng guìfēi:日本語読みでは「ようきひ」。
日本では楊貴妃として知られますが、貴妃は後宮の称号(皇后の次の位)なのでちゃんとした名前は杨玉环:yáng yùhuánで、中国でもこっちの名前の方が通じると思います。
汉族:Hànzúの女性で唐朝:táng cháoの第6代皇帝玄宗皇帝:Xuánzōng huángdìに寵愛された女性で、日本ではクレオパトラ、小野小町と並び「世界三大美女」ともされています。
杨玉环は経歴的にも変わっていて初めは玄宗の息子の寿王李瑁:Shòu wáng lǐ màoの妃となっていましたが、玄宗に見初められ道士を経て最後は玄宗の贵妃となっています。舞蹈家としても才能を発揮した杨玉环ですが最期は「安史の乱」の原因となった従兄の杨国忠:yángguózhōngの連座で玄宗より死を命ぜられています。玄宗は杨玉环をかばったようですが側近が許さなかったようです。
杨玉环は贵妃醉酒:Guìfēi zuìjiǔというお話が有名ですが、他にもいろいろなお話が伝えられています。
上記の成語の「羞花:Xiū huā」の部分が杨玉环を指しています。花も恥じらう美人というわけです。
ピックアップ・フレーズ
倾城倾国:qīng chéng qīng guó:君主が美女に溺れて国を傾けるというところから「傾国の美女」を意味します。
赐死:cì sǐ:皇帝から死を賜る。死を命じられる事。