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■北欧-1987
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■イタリアでChiggie達と別れた僕はあまり目的も持たず北へ
向かった。まさに所在のない旅で、ただ単にまた一人になり新しい
土地に向かいたかっただけだった。スイス、ドイツは一旦下車
はしたもののほんの2、3日過ごしただけで通過してしまった。
季節的には北半球は秋に向かいなんとなく気持ちも軽くのんきに
なってややこしいことや煩わしいことは全く考える気にならない
ままデンマークに到着した。
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■デンマークでコーリアンの写真家と出会った。久しぶりに旅人と
あれこれ話すことができ、都会のこぎれいなカフェで先のことを考える
気持ちになったとき、ふと、…いや、だんだん所持金の事が気に
なりだした。…ほとんど余裕がない。そろそろどこかにまた腰を落ち着けて
仕事をしなければ身動きが取れなくなってしまう。デンマークで
先の計画をたてた僕は、財布の中味も気になったが、
とりあえずスウェーデンを回ってイギリスに戻ろうと決めた。
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■ヨーロッパの列車の旅で便利なものにユールレイル・パスというのがある。
ヨーロッパの諸国を走る列車に一定期間乗り放題というパスだ。僕は
そのパスを購入して旅をしていた。もちろんパスは共通でもそれぞれの路線
を経営している鉄道会社は違うのだろう。イタリアあたりではコンパーチブル形式の
列車だったが北欧にくると列車の様式が変わった。乗っている乗客の人種も
数も違うのもそう感じた一因だろうが少々お洒落で清楚な感じの様式になった。…北欧の旅は
財布の中味に関係なくどこか優雅でゆとりのある旅になった。
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■北欧をめぐる列車のなかでシベリア鉄道に乗ってヨーロッパに入ったという
日本人の大学生と知り合った。静かな風貌の男性で僕たちは列車の旅をしばらく共にした。
そして彼とある田舎町でちょっと下車しようということになり僕たちは
よく名前もわからない町を散策した。シーズンにもよるのだろうがスウェーデンの
夕日はごく薄いモヤがかかって一種独特の風情と色がある。そのなかに点在する家々も
スウェーデン風の木造建築とあって、まるでそこはおとぎ話を聞いて描いたイメージに
交叉するものがあった。僕たちは時を忘れて日が暮れるまで散策を続けた…。
■そこで少々問題が起きた。僕たちは道に迷っていたのだ。しばらく歩いても
さっぱり道がわからないので近くの民家で駅までの道のりを尋ねてみた。
そうすると駅までかなり距離があるので車で送ってくれるということになり
僕たちはなんとか駅までたどり着くことができた。
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■そしてさらに問題が起きた。その日はもう列車は
この駅には止まらないというのである。しかもこの町にホテルらしきものは
ないというのだ。隣接の町までも距離があり車でそこまで送ってくれというわけにも
いかず僕たちは屋根しかない駅で途方にくれていた。…夜が深まるにつれ寒さはどんどん増し
ついには雪が降らんばかりの気温に下がっていった…。
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■結局僕たちは駅の近くにあったマンションの駐車場の隅の階段でありったけの服を着てその夜は寒さをしのいだ。
よくよく考えれば白夜の町の晩秋の夜だ。気温はもちろん0度を切っている訳だし、何の準備もなく
南国でやっていたようにふらふら歩き回って、いざとなれば野宿という訳にはいかないのだ。
その夜は二人とも結局まともに眠れず。翌日何とか列車に乗り込み僕は一路イギリスを目指した…。
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